こんにちは、一人暮らしのサメの助です。
来年から就職するにあたり、会社の近くに家を借りるか実家から通うか悩みどころだったため、少し考えてみることにしました。
一人暮らしは本当に時間ができる?実家暮らしと比較してみた
タイトルで挙げた、「一人暮らしによって時間ができる」というのは、あくまで一人暮らしのメリットの一側面でしかありません。
まずは、一人暮らしそのものから得られるメリットについて、考えてみましょう。
一人暮らしを通して直接得られるメリット
一般的に言われている一人暮らしのメリットとは、どのようなものがあるでしょうか?
- 全てにおいて自由になる
- 同居人への気遣いが不要
- 家計管理能力・家事スキルが身につく
- 通勤通学時間を短縮できる
辺りがよく挙げられるメリットだと思います。
①と②のメリットは、環境そのものによって得られるメリットです。
疑う余地もありません。
私も、行動時間・家事のルールなど、全てを自分のやりやすいように決定できる気楽さを感じています。
また、その自由な行動は、同じ部屋の中に誰もいない時点で誰にも迷惑をかけません。
どんな時間に帰ってきても、どんな行動を家の中でしていても、自分ひとりしかいないので、誰にも気を遣う必要がありません。
強いて言うならば、隣や上下の部屋・家の人には気を遣う必要はあるかもしれませんが、猛烈な刺激臭を垂れ流す、爆音でEDMを流す、といったことをしない限りは取り立てて気にするほどでもないと思います。
③「家計管理能力・家事スキルが身につく」もよく耳にするメリットだとは思いますが、これらは一人暮らしを通して直接得られるメリットではなく、間接的に得られるメリットではないでしょうか。
家計管理をせずとも、際限なくお金を使うのでなければ、全く手元にお金が残らない、ということもありません。
家事も、ほとんどやらないで済ませることも可能です。
家事全体の中で何が必要で何が必要でないか、家事をやらないためにはどうすればよいのか、といったことを考える経験自体は価値あることですが、そのような思考プロセスを行う、ということだけを取り上げて一人暮らしのメリットとすることはできません。
目的は何か、現状はどうか、何が必要か、するべきことは何か、するべきでないことは何か。
これはどんなときでも必要な思考プロセスです。
その思考を強制的に行う環境に身を置くことにはなりますが、それはやはり結果論であり、一人暮らしから得られる本質的なメリットではありません。
さて、④のメリット、「通勤通学時間を短縮できる」についてはいかがでしょう。
実は個人的にはこれが最も大きなメリットだと思っていて、そのおかげで人生の時間自体が増えたように感じていました。
しかし、本当にそうでしょうか?
確かに今、研究所から自転車で5分程度の場所に住んでおり、すぐに研究室に行けてすぐに家に帰れるので、圧倒的に長い時間を研究に割くことが出来ています。
しかし、これはどちらかというと、研究室の近くで一人暮らしをすることで終電を気にせずにいられる、という状況が、たまたまいつまででも仕事や研究ができる研究室とシナジーを発揮したというだけの話なのではないでしょうか。
実は一人暮らしによって本質的な自分の時間は増えてはおらず、一人暮らしによって自分の時間を全て投下できる環境になった結果として稼働可能時間が伸びたというだけなのかもしれません。
どういうことか、次の節で具体的にみていきましょう。
実家暮らしと一人暮らしの通勤時間の比較
さて、ここで実家暮らしと一人暮らしの通勤時間の詳しい比較をしたいのですが、一般的な平均値を元に議論したところでリアリティのない話になってしまうと思うので、来年4月からの私の場合はどうか、ということをベースに話を進めていこうと思います。
来年の私の生活拠点から職場までのドアtoドアでの通勤時間は、次の通りです。
実家から:1時間10分
想定しているアパートから:30分
往復で1時間20分の違いです。
これだけ聞くととても大きい差に感じますが、これはあくまでトータルでかかる時間についての議論です。
この総合的な時間の中にどのような要素が含まれているのか、細かくみていきましょう。
実家暮らし:駅と出発地や目的地との間の移動13分、駅での移動16分、ホームでの待機7分、電車に乗車34分(25分と9分)
一人暮らし:駅と出発地や目的地との間の移動19分、駅での移動5分、ホームでの待機0分、電車に乗車6分
このように、私の場合は実家から通った方が多くかかる時間と一人暮らしの方が多くかかる時間があることが分かりました。
それぞれの時間ではどのようなことが出来るでしょうか?
移動時間について
実家暮らし:駅と出発地や目的地との間の移動13分、駅での移動16分
一人暮らし:駅と出発地や目的地との間の移動19分、駅での移動5分
駅と出発地や目的地との間の移動の時間は、家賃の問題で駅から一定の距離を歩く必要がある一人暮らしの方が長くなりそうですが、この時間でできることと言えば耳からなんらかの情報のインプットということになると思います。
ただ、イヤホンが好きではないので私はあまりやりません。
最近はiPadで読書をしながら歩く、ということもしますが、特に夜とかは危ないですね。
この間読書しながら夜道を歩いていたところ、植え込みに気が付かず躓いて、膝を強打してしまいました。
イヤホン嫌いをぐっとこらえてAudibleを使うべきなのかもしれません…。
ただ、Audibleは自分の速度で理解出来ない気がしていて、踏み出せていません。
今度試してみようと思います。
話が逸れました。
駅での移動は乗り換えがある分実家から通った方が多くの時間がかかります。
同じ歩くという状況でも、駅と出発地や目的地との間を歩くよりも、何かしながら歩くというのはなかなか難しい気がします。
階段があったり周りの歩く速度に合わせたり、単純に急いでいたりと色々ありますよね。
イヤホンを使って耳から情報を得ることは可能だとは思いますが、その前後でしていることと切り替えて…ということを考えると、特に一人暮らしの場合の短い時間で行うのは現実的ではないように思います。
実家からの場合は、駅と駅の間を13分ほど歩くタイミングがあるのですが、そこであれば10分ほどは利用できるとは思います。
ただ、前にも述べた通り、私はあまり歩きながらイヤホンでインプット、ということをしません。
考え事をしたり、街並みの変化を探したりしながら歩きます。
そういう意味では、駅と出発地や目的地の間を歩く時間とまとめて、
実家暮らし:29分
一人暮らし:24分
としてみても良いかもしれません。
こうすると、この時間は一人暮らしの方が往復で10分短い、ということになります。
ところで、この時間は歩いて脳を活性化させながらものを考えることができる貴重な時間ですが、ここの時間が少ないことは果たして本当にメリットなのでしょうか?
ホームでの待機時間と乗車時間について
実家暮らし:ホームでの待機7分、電車に乗車34分(25分と9分)
一人暮らし:ホームでの待機0分、電車に乗車6分
ホームでの待機時間は、基本的には実家からの場合でしか発生しません。
一人暮らしの場合は駅に着いた瞬間に電車に飛び乗る計算なので、0分となっています。
朝のホームでの待機時間では新聞の見出しチェックなどをして世の時流の大局を知ることが出来ると思いますが、同じことは一人暮らしの場合の電車の乗車時間にもあたります。
スマホがあれば出来ることなので、電車内だろうとホームだろうと大差ないでしょう。
夜はLINEなどのプライベートのメッセージアプリで、緊急性の低い内容に対して返信を行うことができます。
一方、実家からの合計の電車の乗車時間は34分にもなります。
この時間全てを使って新聞の見出しのチェックをするわけにもいきません。
また、この34分という時間は乗換えを挟んで25分と9分と分かれていますが、電車に乗って荷物を網棚に乗せる、降りる前に荷物を取ってドアの近くに行く、といった動作を考えると、1本の電車の乗り降りに1分程度、つまり1回乗り換えれば2分間の何もできない時間が生まれます。
こうして生まれた24分と8分の時間はどのように使えるでしょうか?
24分あれば本が読めます。
これは朝も夜も同じで、内容によっては一冊読み終えることも可能ですね。
8分という時間を利用するのは少し難しいですが、朝であればその日のスケジュールを確認してイメトレをし、職場に着いた瞬間から動き始められるようにしておく、といったことが良いでしょうか。
それでは、帰りの場合の8分間はどのように使えるでしょうか。
もちろん本を少し読んでもいいですが、すぐに切り上げなければいけないので、あまり向いていません。
その日の振り返りをして明日のスケジュールを軽く立てる、ということにあてられるでしょうか。
おそらく、疲れてしまってそんなことは出来ない…ということも多いような気もしますが、「家に帰るまでがなんとやら」の遠足理論でなんとかなるような気もします。
まとめると、
実家暮らし朝:見出しチェック7分、読書24分、その日のスケジュール確認とイメトレ8分、無駄2分
実家暮らし夜:LINEの返信7分、読書24分、振り返りと翌日のスケジュール立て8分、無駄2分
一人暮らし朝:見出しチェック5分、無駄1分
一人暮らし夜:LINEの返信5分、無駄1分
ということになります。
実家の場合のホームでの待機時間は、特に帰りでは乗る電車の時間が変わるはずなのでもちろん変動しますが、とりあえずは行きと同じ時間としました。
さて、仮に上記の通りに通勤時間を活用できた場合、完全に無駄な時間は、乗り換えの回数のみに依存することになります。
つまり、一人暮らしの場合と比べて、実家暮らしであれば2分間だけ完全に無駄な時間が増える、ということです。
これは果たして大きな違いでしょうか?
むしろ、電車という読書に適した環境を手に入れられること、スケジュール立て、スケジュールチェックという重要だけれども時間をとってやるのが面倒くさいことに、確実に取り組むタイミングが作れる、ということはむしろメリットなのかもしれません。
実家暮らしと一人暮らしの通勤以外の時間の比較
それでは、通勤以外の時間はどうでしょうか?
ここでは、通勤に関連せず、かつ生活をしていく上で必ず発生する時間が、実家暮らしと一人暮らしでどう違うかをみていこうと思います。
さて、まず大前提としてあるのが、実家でどれだけの時間を家事などに割く必要があるかは、家族構成やそれぞれの家庭の役割分担の内容による、ということです。
一般的な家事としてあげられるのは、
- 掃除
- 炊事
- 洗濯
- 買い物
- 郵便物などの管理
- 口座の管理
- ゴミの管理
といったようなことだと思います。
小さなお子さんがいるご家庭ではこの他にも子供のお世話や幼稚園・学校との連絡に関連する細かい家事などが沢山あると思います。
ただ、そういったことを考え始めるとキリがありませんし、あくまでここでは大きな括りとしての家事をどれだけやる必要があるか、つまり一人暮らしでは全部自分でこなしていた家事が実家暮らしであればどうなるのか、ということを考えます。
まず、実家があるような社会人であれば、家長は別にいるはずです。
そうすると、郵便物や口座の管理をする必要がある場合はほとんどないと考えられます。
とはいってもこの辺りは大きな時間をかける必要のある家事の部分ではないため、インパクトとしては小さい気がします。
ゴミについては誰でも担当しうる家事ですが、やはりインパクトは小さくなります。
一方、掃除、炊事、洗濯、買い物はそれぞれがそれなりの時間がかかる家事です。
実家暮らしであれば同居人の数や家の広さが一人暮らしの何倍にもなるはずなので、負担も一人暮らしとは比べものになりません。
ただ、床の掃除をする、夜ご飯を作る、といった1回の家事にかかる時間を家族の人数で割ると、一人暮らしと比べてむしろ1人当たりが家事に割く時間は少なくなるはずです。
そして、ありがたいことに多くの家事を担当してくれている母親、父親といった存在がある場合、実家暮らしが一人暮らしかを悩むその当人にとっては、圧倒的に家事に割く時間は減るはずです。
中にはほとんど全くと言っていいほど家事をしないという(私のような)人もいるのではないでしょうか。
私も、次に実家暮らしをするのであれば、風呂掃除や皿洗いくらいはしようと思います…。
話を戻すと、一人暮らしであれば規模は小さいものの全てを自分でこなす必要があった家事を、家族と分担することでそこにかける時間を減らせる、ということは通勤以外の時間に関して発生する大きなメリットではないでしょうか。
具体的な数字の話をしてみると、今私が一人暮らしで家事に1週間平均でかけている時間は、
- 掃除:10分
- 炊事:70分
- 洗濯:15分
- 買い物:60分
- 郵便物などの管理:2分
- 口座の管理:1分
- ゴミの管理:2分
の、合計160分です。
一方、実家ぐらしで仮に毎日夜の皿洗い(5分)と毎日の風呂掃除(5分)を担当すると、1週間で家事にかかる時間は70分です。
つまり、1週間で90分の時間が浮きます。
通勤時間の総和は1日の往復で80分の違いがありましたが、週の合計の400分をそのまま補うことはできません。
しかし、前節で書いたとおり、通勤時間の全てが無駄なわけではなく、完全に何も出来ない時間は実家から通うことで2分間、つまり平日1週間に10分間増えるだけだ、と分かりました。
1週間で家事の分担から生まれた90分間は、実家から通うことで生まれる10分間の無駄を凌駕する時間です。
実家暮らしの方が良いのか?
ここまで、実家暮らしと一人暮らしを、通勤とそれ以外にかかる時間の違いという観点から比較してきました。
すると、本質的な時間の量は変化しておらず、電車やそれに付随する特殊な環境に適した時間の使い方をすることで、むしろ質的な意味での時間の捉え方においてはメリットがあると言えそうです。
それならば、実家暮らしの方が適したライフスタイルなのでしょうか?
私は、そこについてはまさに「人による」といったことになると思います。
時間の「質」の部分に焦点を当てるとするならば、ここまでで全く議論に挙げてこなかった「満員電車から受けるストレス」といったことを無視するわけにはいきません。
私自身、中学生の頃から10年間満員電車に飛び込んで通学していましたが、自転車通学で済むようになってからは、明らかに疲れが減り、1日で使える自分のエネルギーの総量に対して、朝学校に着いた瞬間や夜家に帰った瞬間に残っているエネルギー量が明らかに増えたことを感じています。
そのおかげで狂ったように稼働し続けることも可能になりました。
これは満員電車における、
- 大量の他者の視点に晒される緊張感
- 知らない人と0距離でくっつき続ける苦痛
- 身動きが取れないことによる不快感
- 淀んだ空気
- 痴漢冤罪や暴力沙汰など、なんらかのトラブルに巻き込まれかねない恐怖
といったことから発生するストレスが完全に0になったからです。
ただ、これはあくまで「満員電車を利用することによるストレス」であって、「電車を利用することによるストレス」ではありません。
例えば混雑しない路線を使ったり、混雑する時間を避ける、といったことで上記のストレスからは解放されます。
15時等の早さで帰れる職場でなければ帰りの電車はある程度仕方ない部分はあるとは思いますが、少なくとも朝は早い時間の電車を利用することで回避できます。
朝早く職場に行くことのメリットは私自身が現在研究室に常識外れなレベルで朝早く行くことで感じている通り、満員電車を回避できること以外にも沢山あります。
それでもやはり、朝どうしても起きられない人、ギリギリまで寝ていたいという人はいるはずです。
そういう意味で、満員電車に乗らずに済むように出来るかどうかは人によりますし、実家暮らしを選択すべきかどうかという判断も人によるのです。
ストレスを回避する術を実行できるかどうか、そして通勤時間を適切に使うことができるかどうか、という2点を判断軸に据えることで、自分にあったライフスタイルが見えて来るのだと思います。
まとめ
今回は、「一人暮らしは時間ができる」というよく聞く話が、本当に正しいのかどうかを、実家暮らしの場合と比較して検討してみました。
もちろん、私の個人的なケースを元に粗い数字で議論を進めているため完全にここで述べたことが正しいとは全く思っていません。
ただ、少し遠いところから通うことで時間を無駄にする、という考え自体は必ずしも正しくはない、ということはお分かりいただけたのではないでしょうか。
通勤時間をどう使うのか、そして実家という環境から得られる時間的なメリットを、通勤で乗り換えが発生することにより生まれる時間的なデメリットと比較すると、本質的な時間はむしろ増えるのではないか、ということが、私の考えです。
もちろん時間的なもの以外の観点で見れば、満員電車からのストレスを受けづらい、という部分は職場近くでの一人暮らしのメリットではありますが、それ自体は回避可能であり、自分がそのような生活が出来るかどうか、という点が論点になってくるはずです。