こんにちは、食費は楽をしながらも極力削っていきたい派のサメの助です。
以前業務スーパーを駆使して100円でお腹いっぱいになれる晩ご飯のメニューをご紹介しました。
ところで、業務スーパーは何故こんなに安いのでしょうか?
あまり深く考えたことのある人も少ないのではないでしょうか?
今回は、業務スーパーがあの安さを実現している理由をまとめてみました!
業務スーパーはなぜ安い?理由は2つにまとめられる!
業務スーパーのホームページや、その経営母体である神戸物産の有価証券報告書などからその秘密を探ったところ、業務スーパーの安さには大きく分けて次の2つの理由があることが分かりました。
- 流通経路に大胆に踏み込んでいる
- 細部にまでこだわり抜いた徹底的なコストカット志向
それでは、1つずつ解説していきます。
①流通経路に大胆に踏み込んでいる
原材料が生産されてから消費者の元に届くまでの流通経路は、一般的には商社や問屋など、様々な業者が関与します。
これらの業者が流通を加速させることにより消費者の元に安定的に食品・物品が届き、また経済活動が活性化されるのですが、間に挟まる業者が増えれば増えるほど最終的な商品価格が高騰するのは言うまでもありません。
小売業者たちも、価格を抑える努力はしたいものの、事業活動の拡大・迅速化・簡便化のためにはこういった業者との関係を維持せざるを得ません。
ところが業務スーパーを経営する神戸物産は、
- 自社で農業・養鶏を行う
- メーカーから直接仕入れる
- 海外工場と直接契約して自社仕入れを行う
- 自社工場でオリジナル商品を作る
といった工夫により、仕入れコストを削減することに成功しています。
神戸物産取扱の約4000の商品のうち、アジアを中心に約40ヵ国から約1200もの商品を直接輸入していますが、その際は大きなコンテナを利用して一度に大量に仕入れることで、輸入自体のコストを下げています。
また、自社工場も14社22工場保有しており、牛乳パック入りスイーツシリーズなど、オリジナル商品を多数展開することにより高品質かつ低価格な商品力を実現しています。
このように、業務スーパーは、流通経路に大胆に踏み込み、生産・加工・仕入れ・販売の全てを一貫して担うことで低価格を実現していることが分かります。
この体制を神戸物産では「食の製販一体体制」とし、第一、第二、第三産業の全てを一貫で行うことから六次産業とも呼んでいます。
②細部にまでこだわり抜いた徹底的なコストカット志向
小売業者が商品を仕入れ、販売するためには、広告宣伝費、販売促進費、店舗運営のための諸費用など、様々なコストがかかります。
その分のコストを差し引いた分が利益となるため、小売業者が利益をあげるためにはコストとバランスをとった価格設定にする必要があり、価格破壊は起きづらくなっています。
そんな中、価格破壊を引き起こしかねないほどの低価格設定の業務スーパーでは、
- 広告費はウェブ広告メインで出費を抑える
- 冷凍食品専用のオリジナル什器の使用
- 独自管理システムの導入
といった工夫により、店舗運営のコストを削減し、低価格での販売を実現しています。
一般的に、小売り・外食の売上高に対する広告宣伝費の割合の平均は1.89%とされています(*1)が、神戸物産の有価証券報告書によると、その割合はわずか約0.0811%(*2)と非常に低い数字となっています。
小売業大手のイオンが約2.77%(*3)、セブン&アイ・ホールディングスが約2.55%(*4)であることから考えても、圧倒的に低い数字であることが分かります。
業務スーパーの店舗数は2020年9月現在866店舗(*5)ですが、店舗数の近い小売業者であるアインホールディングス(2020年4月現在1151店舗(*6))の広告宣伝費も0.684%(*7)と、神戸物産と比べると大きい値です。
広告費を抑えることで無駄なコストをカット出来るのはもちろんのこと、過度な広告や特売日を作らないことで毎日がお得、「エブリデイロープライス」を実現することで常に利用客を引きつけることにも繋がっています。
店舗内でも、冷凍食品専用のオリジナル什器を使用したり段ボールのまま陳列したり品出しを効率化したりと、様々な効率化の工夫がなされています。
また、データを活用して様々な業務をシステム化し、人件費をカットすることにも成功しています。
このように、細部にまでこだわり抜いたコストカットを徹底することにより、業務スーパーの低価格販売が実現していることが分かります。
まとめ
業務スーパーでは、経営母体の神戸物産が、流通経路に大胆に踏み込んで第一次、第二次、第三次産業の全てを担う「食の製販一体体制」を実現することにより大幅なコストダウンに成功していることが分かりました。
また、店舗販売においても、広告宣伝費の節約や販売・管理方法の工夫によりコストカットに繋げていることが分かりました。
神戸物産の売上に対する業務スーパー事業の占める割合は93%以上(*2)で、神戸物産の主力事業であることは間違いありません。
コロナの自粛ムードの中で内食需要が高まったことによる後押しからか、2020年4月にはおそらく神戸物産の売上は過去最高額となる数字を記録しました(*8)。
ところがその後売上の伸びは鈍化し、打ち手の手詰まり感からか、株価も低下し始めています。
中期経営計画として今後は「食の製販一体体制」を強化しつつ中食事業を拡大させていくつもりとのことなので(*9)、業務スーパーのアイデンティティを確保しつつ徐々に新しい時代へと対応していくことが期待できます。
個人的に業務スーパーはとても気に入っているので、あまりに陳腐な言葉ですが、是非頑張って欲しいものです。
ソース
*1株式会社日経リサーチ-日経「スマートワーク経営」調査解説(28)
*2第34期(2018/11/01-2019/10/31)株式会社神戸物産有価証券報告書
*3第95期(2019/03/01-2020/02/29)イオン株式会社有価証券報告書
*4第15期(2019/03/01-2020/02/29)株式会社セブン&アイ・ホールディングス有価証券報告書
*5第35期第3四半期(2020/05/01-2020/07/31)株式会社神戸物産有価証券報告書
*7第51期(2019/05/01-2020/04/30)株式会社アインホールディングス有価証券報告書