はじめに
こんにちは!
この記事にたどり着いたあなたは,世の中に数多い美術本の中でもオススメを知りたいとお考えではないでしょうか。
今回は,
「アートって面白そうだし最近よく話題になるけど,一方でなんかハードルが高い。
初心者でも楽しめる美術本が知りたい!」
という方にぴったりの記事をご用意しました。(※主に西洋絵画の本を中心にご紹介します)
このサイト「リベラルアーツ研究所」では,有名な絵画や彫刻を分かりやすく解説する「アート」カテゴリの記事が人気コンテンツの1つとなっており,中にはGoogle検索1位を獲得した記事も複数存在します。
こうした記事を執筆する中で,私たちは膨大な量の美術本を読み込んできました。
その中でも,以下それぞれのニーズを満たしたい時に最初に手に取るべき本17冊を厳選してご紹介したいと思います。
- 古代から現代までの美術の流れを体系的に知りたい
- 有名な美術作品について広く浅く知りたい
- 有名な芸術家の作品や生涯について深く知りたい
- 各ジャンル(歴史画・宗教画など)の作品について深く知りたい
- その他(鑑賞術,美術とお金,失われたアートなど)
では,早速見ていきましょう!
①古代から現代までの美術の流れを体系的に知りたい
1.『理由がわかればもっと面白い!西洋絵画の教科書』
本書の魅力は,とにかくイラストや図表が豊富で,絵画自体や関連情報が視覚的に理解しやすいことです。
冒頭はアートを全く知らない男性がアートに興味を持って美術館にフラッと立ち寄るマンガから始まり,その後は美術史についての本格的な解説とイラスト・図表が入り混ざりつつ有名絵画281点について学ぶことができます。
約240ページとコンパクトなのに,解説が薄いこともなく見事にまとめられており,初心者が最初に読む1冊にピッタリです。
2.『いちばん親切な西洋美術史』
タイトルの通り,西洋美術の歴史を体系的に理解できる1冊です。
エジプト・メソポタミアから始まってギリシャ・ローマ,ルネサンス,バロック,印象派…と,絵画に留まらず彫刻や建築まで幅広いジャンルの美術をカバーしています。
まずは西洋美術の全体感を掴みたいという方に非常におすすめの書籍です。
3.『西洋絵画の鑑賞事典』
こちらも良書です。上で挙げた『西洋絵画の教科書』に似たコンセプトですが,比較的文章量が多く,一点一点の絵画についてより丁寧に解説されています。全くの初心者ではないけれど,基本的な情報を得たいという方にもってこいの1冊です。
②有名な美術作品について広く浅く知りたい
『366日の西洋美術』
個人的にイチオシの書籍です。
西洋美術を代表する作品がなんと366日分載っており,有名な画家の代表作品だけでなくちょっとマイナーな作品まで本当に幅広くカバーされています。
さながら名画図鑑という1冊で,絵ごとの解説はものすごく充実しているわけではないですが,「画家の逸話」「主題」「謎・フェイク」など絵ごとにテーマを決めた解説が為されており,読んでいるだけで楽しめます。
とにかく多くの良質な絵画に触れられるので,この本を起点として気になった絵をさらに調べるという使い方も楽しめる,買って後悔のない名著となっています。
③有名な芸術家の作品や生涯について深く知りたい
1.『名画への招待』シリーズ
朝日新聞出版から出ている,初心者向けに有名画家の生涯と作品を解説したシリーズです。
誰もが知っている有名絵画の鑑賞ポイントや画家の生涯を追う形での作品紹介,興味深いコラムの数々など,「あの有名画家の作品と人生を知りたい!」という方には最適のシリーズです。
類似シリーズに比べ,装丁や紙面構成などのセンスが特に良いのも推しポイントです。
2.『もっと知りたい』シリーズ
東京美術社から刊行されている,芸術家の作品と生涯を解説するシリーズです。
上記の「名画への招待」シリーズとの違いとしては,その芸術家の研究の第一人者を著者に据え,一段詳しい解説を行っている点です。
有名な作品にこだわらず,その芸術家の比較的マイナーな作品も多く取り上げられています。
また,シリーズのラインナップを見れば分かるように,日本の芸術家や世間的にはややマイナーな芸術家まで幅広く刊行されている点も大きな魅力と言えます。
3.『色彩飛行』シリーズ
求龍堂から2021年に刊行開始された新しいシリーズです。
画家の使う「色」に注目して色ごとの章立てを行うという斬新なアプローチが取られており,『名画への招待』『もっと知りたい』シリーズの新たなライバルとして今後に期待がかかるシリーズです。
④各ジャンル(宗教画・歴史画など)の作品について深く知りたい
1. 宗教画
『聖書と名画』
西洋美術といえば,宗教画は外せません。
日本では旧約聖書・新約聖書の内容に馴染みのある人は少数派なので,何の知識もなく宗教画を見ても「?」が頭に浮かぶだけになってしまいます。
この本は,旧約聖書の「天地創造」から新約聖書まで順を追って,主要な場面ごとに対応する名画を紹介し,分かりやすく解説しています。
宗教画について詳しくなりたい人に非常にオススメです。
2. 歴史画
『名画で読み解く「世界史」』
宗教と同様,歴史も絵画のテーマとしてメジャーなものです。
この本では,古代から近代までの歴史の名場面を描いた名画を取り上げ,絵画だけでなくその背景にある歴史の詳細な解説もあり,歴史ファンの方には必携の1冊です。
3. 風景画
『366日 風景画をめぐる旅』
意外にも,「風景」をテーマにした絵を集めた本というのは少ないのですが,この書籍はルノワール・モネ・スーラなどの有名画家を中心に,美しい風景画が目白押しです。世界的に外出しづらい今の時代だからこそ,美しい絵画の旅を楽しんでみたいという方にピッタリの書籍です。
4. その他個別テーマ
『pen BOOKS』シリーズ
人気のライフスタイル誌『pen』の中で特に反響の大きかった特集を書籍化したのが,この『pen BOOKS』シリーズです。「古代ギリシャ・ローマ」「キリスト教とは何か」「神社とは何か」「歌舞伎入門」などなど,知的好奇心を刺激されるラインナップの数々は一見の価値ありです。
⑤その他
鑑賞術
『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』
いわゆる美術鑑賞の技法を解説した本です…などと書くといかにも難しそうに聞こえますが,初心者でも「構図」や「色の使い方」,「画面の分割」などの鑑賞のポイントについて学ぶことができます。「名画はなぜ名画と呼ばれるのか?」という素朴な疑問に著者が明快に答えを出していく,読んでいて非常に勉強になる本です。
美術とお金
『美術の経済 “名画”を生み出すお金の話』
「ただの落書きのような絵にどうして何億円もの価格が付くの?」「高額な作品を買い続けられる美術館はお金持ちなの?」「ダ・ヴィンチの報酬はいくらだった?」といった美術作品にまつわる「お金の疑問」の答えを探っていく,ありそうでなかった書籍です。
普段は直接目に触れない,美術作品を取り巻くお金の流れを知りたい方に丁度良い内容です。
美術のミステリー
『名画の謎』シリーズ
『怖い絵』シリーズで有名な中野京子さんが,絵画に隠された謎を解き明かしていくシリーズです。
全4巻あるのですが,どの巻も中野さん独自の視点が光る,最高に面白い内容となっています。
中野さんは美術に限らずヨーロッパ文化に精通しており,その圧倒的知識量と名文が,読者を奥深い名画の世界に引き込みます。
中野さんの書く本にハズレはないので,この本で興味を持たれた方は是非他のシリーズも手に取ってみてください。
失われたアート
『「失われた名画」の展覧会』
盗難,火事,戦乱など様々な理由で行方不明や破損といった結末を迎えてしまい,現在目にすることができない名画171点をフルカラーで楽しめる1冊です。
なぜ失われたのか,どのような絵だったのかといったドラマが1枚1枚にあり,まさに「幻の展覧会」に足を運んだ気分になれる本です。
『失われたアートの謎を解く』
テーマを「巨匠の失われた作品」にフォーカスし,失われた理由ごとに深く掘り下げた本です。
どうして素晴らしい作品が失われてしまったのか,まさに「謎解き」を見ている気分で楽しめるので,ミステリー好きの方に大変オススメです。
日本美術
『一生に一度は見たい 日本の国宝100選』
美術というとどうしても西洋美術が注目されがちですが,日本美術にも素晴らしい作品はたくさんあります。
「これぞ初心者向けに最適な日本美術の解説書だ!」と言えるような書籍を見つけられていないのが現状ですが,こちらの本は大変オススメできます。
『鳥獣戯画』『風神雷神図屏風』『洛中洛外図屏風』など,日本人なら誰もが一度は目にしたことがある美術作品が丁寧な解説とコラム,豊富な画像とともに掲載されています。
代表的な日本美術の作品が知りたい方にイチオシの書籍です。
(個別の日本美術作家については先述の『名画への招待』シリーズや『もっと知りたい』シリーズが最適です)
おわりに:初心者こそ美術を楽しもう!
今回は,当サイトが自信を持ってオススメする美術本を17点厳選してご紹介しました。
美術本はそれ自体が小さな美術館であり,日常のふとした瞬間にページをめくることで気分をリフレッシュできる素晴らしいものです。
美術は,初心者にも楽しみとして開かれているものなのです。
今回ご紹介した美術本は,いずれも購入して良かった!と心から思えるものを中心に集めています。
私自身,美術に関しては無知なまま生きてきましたが,こうした本を手元に置いて何度も読み返すことで,記事を書くまでになっています。
このサイト「リベラルアーツ研究所」では,有名な絵画や彫刻を分かりやすく解説する「アート」カテゴリの記事が人気コンテンツの1つとなっており,中にはGoogle検索1位を獲得した記事も複数存在します。
まずは図書館や書店に足を運んでいただき,お気に入りの1冊に巡り合うためのガイドとしてこの記事を役立てていただければ非常に嬉しいです。
最後までお読みいただき,ありがとうございました!!
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