こんにちは、サメの助です。
クリスマスが徐々に近づいてきて、街中も華やかな雰囲気になっていて、最近の私は少し楽しい気分です。
今となってはクリスマスは毎年来るイベントの一つ、といった感じですが、子供のときのクリスマスは、もっと特別なものでした。
子供の頃、私にとってのクリスマスは、ファンタジーがこの現実世界に顕現し、しかも自分がその当事者になれる唯一の日でした。
私は仮面ライダーも戦隊モノもアニメも大好きでしたが、そのどれもが虚構であることは子供ながらに認識していました。
ただ、クリスマスだけは、サンタクロースが子供にプレゼントを送るというファンタジーとしか思えない設定が、実際に自分に対して起こるのです。
朝起きると枕元にはプレゼントが置いてあり、サンタクロースのためにケーキを置いておくと朝にはなくなっていました。
クリスマスにもらったプレゼントはどう考えても一般の市場に出回っているものに違いはないのですが、サンタクロースが手に入れたと考えると、そのプレゼントは特殊なルートで入手されたもので、何か特別な魔法のようなものがかかっているようにも感じていました。
しかし、サンタクロースがファンタジーの世界の住人ではなく、両親がプレゼントをこっそり買ってきてくれていたのだと思い知るのにそう時間はかかりませんでした。
それでも、その現実から目を逸らそうと努力し、なんなら目を逸しきれていないにも関わらず、クリスマスを現実のものにするというフィクションを自分の中に作り上げようとすらしていました。
クリスマスは何故それほどまでに特別なのでしょうか?
今回は、特に子供にとって何故クリスマスが特別なのか、という視点で書いていこうと思います。
この記事を通して、子供へ渡すプレゼントを選んでいる途中でクリスマスの演出をすることに疲れてきた親御さんに再び子供に魅せるクリスマスへの意欲を掻き立たせ、子供の頃と比べてクリスマスに対する思い入れの薄まった大人にクリスマスに対する特別な思いを再び湧き起こすことが出来たら嬉しいです。
この記事では、子供の時に幸せなクリスマスを過ごすことが出来た筆者が、その視点にある程度偏って執筆しています。
クリスマスにトラウマがある方、子供の頃に幸せなクリスマスを過ごすことが出来なかった方がいらっしゃったら不快な思いをさせてしまうかもしれません。
予めお詫びさせていただきます。
ただ、そのような方も、この記事を通して世の中の子供たちに幸せなクリスマスを届ける仲間の一人になってくださったら、それほど嬉しいことはありません。
クリスマスは何故特別なのか?
さて、ここからは何故クリスマスが特別なのか、ということについて、次の2ステップを通して私なりの解釈をお伝えします。
- クリスマスとは一体なんなのか
- 他の祝い事やイベントとの違い
クリスマスとは一体なんなのか
世界中を巻き込んで特別なムードを作り出すクリスマスとは、一体なんなのでしょうか?
一言で言えば、救世主イエス・キリストの誕生日を祝う、降誕祭です。
ですが、実際のクリスマスにおいては、宗教的な要素は他の多くの要素のうちの一つに過ぎず、そしてそれは、とても小さな一側面なのです。
何故なら、国、地域、家庭の持つ文化それぞれに独自のクリスマスがあるからです。
例えばサンタクロースのプレゼントの届け方は、子供の寝静まった夜の間に枕元にこっそりと置くのがスタンダードだと思いますが、私の友人の家では、子供が起きている時間帯に玄関の呼び鈴が鳴り、外に出ると誰もいないが家に戻るとプレゼントがある、といった届け方をしていたようです。
宗教的要素の強いイベントなのであれば、こうも多様化していくこともなかったでしょう。
つまりクリスマスとは、一人一人に固有の思い出をもたらすイベントなのです。
また、冒頭で述べたファンタジーが現実のものになる、という要素もとても大きいです。
サンタクロースはいかにもファンタジーの世界の住人のようですが、実際には両親がサンタクロースであり、両親は現実世界の住人です。
つまり、現実の出来事をファンタジーに置き換えて語られているのがクリスマスなのです。
これは、昔話や言い伝え、神話など、現実の出来事に脚色や憶測を加えて物語に昇華させたものと、本質的には等しいのではないでしょうか。
しかし、視点を子供に移すと、現実世界に起こっている出来事の説明にファンタジーのストーリーが使われているため、子供からすればファンタジーが現実のものになったように見えるのです。
そしてもう一つの大きな要素として、クリスマスの主役が子供である、ということが挙げられます。
これら3つの要素が同時に存在していることが、クリスマスを特別なものへと仕立て上げているのです。
- 一人一人に固有の思い出がある
- ファンタジーが現実のものとなる
- 子供が主役である
他の祝い事やイベントとの違い
クリスマスが特別である理由となる3つの要素を解説しましたが、何故その3つが同時に存在することでクリスマスが特別になるのでしょうか?
他の祝い事やイベントとの比較を通して、より詳しくみていきましょう。
誕生日との違い
誕生日は、子供が主役であり、一人一人に固有の思い出があるイベントです。
クリスマスはキリストの誕生祭にかこつけて子供が主役になりますが、誕生日はいわば子供の誕生祭です。
自分が生まれたという現実の出来事について、両親や友人など自分と関わりの深い人物が祝ってくれるのが誕生日ですよね。
一方クリスマスは、サンタクロースという他人、ファンタジーの人物を利用して各家庭でイベントが開催されます。
クリスマスは各家庭に同時に存在し、それぞれが異なっているため、実際にはその個人のクリスマスの集合体こそがクリスマスなのです。
つまりもはやクリスマスは概念と呼んでよいほどのものですが、その実態のないクリスマスというものから子供、つまり個人という具体的な存在へと矢印が向かうのがクリスマスなのです。
その点誕生日は、誕生日を迎える個人が出発点となりその当人に返ってくるという矢印なので、主役と主役を生み出すきっかけが一致しており、またそのどちらもが具体的な存在であるので、クリスマスとは大きく異なります。
誕生日の他にも、勝利祝い、卒業祝い、成人祝いなどはほぼ同じです。
いずれもが現実に存在するものについての祝い事なので、当然ファンタジーではありません。
お正月との違い
お正月は、新しい1年が始まったことを祝う行事です。
既に現実世界は新しい1年を迎えているのでファンタジーではなく、また子供が主役になることも基本的にはありません。
お年玉については子供が主役になっていると言えるかもしれませんが、子供の側からすると普段知っている人がお金をうやうやしく渡してくれるというだけのことで、ここにファンタジー要素はありません。
また、そもそもお正月そのものは誰を主役にすることもないため、最終的な思い出は一人一人に固有なものになることはありません。
もちろん各家庭でお正月の過ごし方は異なりますが、あくまでその単位は家族、親戚といった単位で、子供一人のためのお正月、というものは存在しません。
個人に固有な思い出が生まれるとしても、それはなんらかの集合の中の一部分を切り取ったものにすぎません。
クリスマスは一人一人の異なった思い出の集合体で、その部分集合には何一つ同じものはありませんが、お正月は少なくとも同じ時間を過ごした家族や友人などでは共通した思い出があるはずなので、クリスマスとは異なります。
大晦日との違い
大晦日は、一年の締めくくりをすると同時に新年を迎える準備をする行事です。
これもお正月と同様一人一人に固有の思い出が生まれることはありませんし、子供が主役になることもありません。
しかし、ファンタジーが現実のものとなる、という点については一部クリスマスと重なる部分があると言えます。
どういうことかというと、大晦日というものは、まだ終わっていない1年と、まだ始まっていない1年に関する行事だ、ということです。
1年が365日かけて終わりを迎え、次の1年が始まる、というのは物理学的現象に落ち着けることが出来る完全に現実的な出来事ではあるのですが、それは現在の物理的条件を計算式に当てはめて考えた結果であり、大晦日のタイミングであればあくまで未来への予想でしかありません。
もしかしたらなんらかの原因で太陽の質量が上がる、もしくは別の外的要因によって地球の公転周期が変わるかもしれません。
もちろんそんなことは普通は起こりませんし、起こると考えたとしてもそれはファンタジーではなくSFです。
しかし、1年が無事終わり、次の1年が始まるまでは、何か起こるかもしれないし、何も起こらないかもしれないし、まだ分からないのです。
そして何か起こるとして、その原因は自然現象かもしれないし、超自然現象かもしれない。
そう考えると、終わらないかもしれない1年を終わるという予想の元で振り返り、始まらないかもしれない1年を始まるという予想の元で迎える大晦日は、ファンタジーが現実のものとなっていると言ってもよいのではないでしょうか。
正確に言うと大晦日の間にはファンタジーが現実になることはない(1年は終わらないし次の1年は始まらない)のでクリスマスよりもさらにファンタジー要素に富んでいるのかもしれません。
私は毎年大晦日で年明けが近づくごとにテンションが高まっていき、0:00をピークにテンションは一気に下がってゆき、最終的にお正月を家族で過ごす頃には平常通りの気分で過ごします。
これはまさに大晦日にファンタジーの要素があるからなのではないか、と考えているのです。
まとめ
クリスマスが特別である理由は、
- ファンタジーが現実のものとなる
- 一人一人に固有の思い出がある
- 子供が主役である
という3つの要素で説明できます。
他の祝い事やイベントでは、この3つの要素のいずれかが存在していることはあっても、3つ全てが同時に存在していることはありません。
そして逆説的に、3つの要素が同時に存在することこそがまさにクリスマスが特別である理由だと考えられるのです。
大昔に亡くなった赤の他人の誕生日がきっかけで何故か自分が主役になり、そして自分を主役たらしめる影の立役者である両親のおかげで、一人一人に固有の思い出が生まれます。
この思い出は自分だけのものだ、という認識が強く結びつき、そうしてクリスマスはそれぞれの人の中で特別なものになっていくのです。
この特別なクリスマスは、子供時代に体験することが特に大切です。
ファンタジーの世界に違和感なく浸れる時期にファンタジーが現実世界になる体験が出来るという意味ももちろんですが、なんのしがらみもなく無償の愛を受ける幸せな経験を得る貴重なタイミングなのです。
子供時代に体験したクリスマスはその後成長し、大人になっていくにつれて徐々に理不尽な社会に触れるようになってからの心の支えとなることでしょう。
ちなみに私は今でも、小さい頃に気分が落ち込んだら聴いていたクリスマスソングを聴くと、当時を思い出して元気になります。
大人になった私たちは子供に素敵なクリスマスを演出してみせる義務がありますし、私たち自身もクリスマスの思い出を大切にする義務があります。
今年のクリスマスでも子供たちの人生の支えになるような固有の思い出がそれぞれに刻まれることを願っています。