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ベンチャー企業の新卒入社の是非について、経験者が語る

ベンチャー企業の新卒入社の是非について、経験者が語る

毎年就活のシーズンになると、「ベンチャーか大手か」「今の時代はコンサルかベンチャーでしょ」のような論争が就活界隈で熱く議論されていることかと思います。

しかし、その議論はどれだけ一次情報に則って議論出来ているのでしょうか?

なんとなくのイメージで語られている部分が大きいのでは?と思い、実際に新卒でベンチャー企業に入社した筆者の視点から、今回の記事を執筆することにしました。

この記事では、ベンチャーとは何か?という部分から、ベンチャー企業に対して抱きがちな誤解、ベンチャー企業に向いている人などについて解説します!

そもそもベンチャー企業とは?4種類を解説!

そもそも「ベンチャー企業」ってなんなのでしょうか?

なんとなくイメージで使っていて、実際にどのような企業を指す言葉なのか正確には把握出来ていない人も多いのではないのではないでしょうか?

ベンチャー企業は成長ステージによって分類され、次の4種類が存在します。

  • シードステージ
  • アーリーステージ
  • エクスパンションステージ
  • レイターステージ

シードステージのベンチャー企業

シードステージのベンチャー企業は準備段階であり、就活市場で出会うことはまずないでしょう。

経営者とその知人・友人など数人で回している場合が一般的ではないでしょうか。

調査・試作品開発等に資金を投資していて売上が立っておらず、事業としては赤字の場合がほとんどです。

アーリーステージのベンチャー企業

アーリーステージのベンチャー企業は実際に企業としての活動が開始し、ここから成長していく、という段階です。

インターンなどでアーリーステージのベンチャーの募集が目につく場合があるかもしれません。

創業時のメンバーにプラスして事業を成長させるための人材採用を行い、10数名程度で運営されている場合が一般的なようです。

人材採用費の他、売上を立てるための広告宣伝費等もかかるため、事業としては大抵は赤字の状態です。

エクスパンションステージのベンチャー企業

エクスパンションステージのベンチャー企業は、事業が軌道に乗り、成長し始めた段階です。

製品やサービスの利用者が一定数以上存在し、事業を回すための組織が拡大・整備され始める段階です。

従業員数も数十人単位に膨らみ、より会社らしい雰囲気になってきます。

事業形態によっては単月黒字化出来ている場合もあり、企業としての基礎体力が徐々につき始める段階です。

レイターステージのベンチャー企業

レイターステージのベンチャー企業は、単年黒字化など事業で安定的に利益を得られるようになっている段階です。

経営的な側面だけでなく組織的な側面でも安定し、IPOやM&Aを検討し始める場合も多いようです。

マスメディアを用いたプロモーションが可能になったり、大型の資金調達の難易度が下がったり、企業としての格がつき始め、アクションの自由度が上がってくる段階とも言えます。

ベンチャー企業に夢があると感じている人の誤解

ベンチャー企業はシードステージからレイターステージまで成長段階によって分かれているということを説明しました。

このようなベンチャーの成長を意識した上でのよくあるベンチャー企業に対するイメージとして、「ハイリスク・ハイリターン」「一発当てたらでかい」のような印象を抱いている人は多いのではないでしょうか?

これはまさにその通りで、シードからレイターまでうまく成長させ、IPOやM&Aに成功すれば、莫大な資産を築くことも可能です。

しかし、これはあくまで会社の株の大部分を保有しているベンチャーの経営陣や投資家の話であり、1ベンチャー社員にとっては直接的な関係のない話である場合がほとんどです。

中には入社時にストックオプションを持たされる企業もあり、上場後に大きな金額が転がりこむこともあるかもしれません。

しかし、経営者と同じような条件となるほどにストックオプションを、しかも新卒に与えられるようなことは、ほとんど期待できないでしょう。

そういった利益を享受出来ない場合、ベンチャー企業は不安定・低賃金・社会的信用の低さ・ハードワーク・福利厚生が充実していない・転職先が不安、など多くのデメリットを抱えていることに注意しなければいけません。

ベンチャー企業は経営者にとってはまさにハイリスク・ハイリターンですが、ベンチャー企業の社員にとってはハイリスク・ローリターンである場合がほとんどなのです。

この部分に対して根本的な勘違いをしている人も中にはいるようですが、社員として働く分にはそういった夢のような話はあまり期待できない、ということを明示しておきます。

ベンチャー企業のウソ

さて、「ベンチャー企業がハイリスク・ローリターンなことは最初から知っていたさ、それでもベンチャー企業にはもっと多くの魅力があるはずだ!」と思った人も多いのではないでしょうか?

ベンチャーは東大・京大卒のエリートも多く在籍しているし、転職市場でも高く評価されるし、高給取りだし、裁量権があるし…

などなど。

どれもこれも、一側面で見れば正しいと言えるかもしれませんが、実態はイメージしているものとは程遠いかもしれません。

例えば、東大・京大卒のベンチャー社員は確かに沢山います。

しかし、東大・京大生の多くがベンチャー企業を志しているわけではなく、一部の尖った人や、就活に失敗した人が流れ着く先であるとも捉えることが出来ます。

東大・京大生に人気のベンチャー!のように就活ポータルサイトがまとめている記事が出ているのを見たことがある人もいるかもしれませんが、あれはあくまでベンチャー企業の中で東大生に人気の企業ランキングです。

そして、東大・京大生はベンチャー企業を就活の過程で確かに受けているかもしれませんが、あくまで選考の練習のような位置づけになっている場合も多いようです。

どういうことかというと、ベンチャー企業のインターンは比較的受かりやすく、早期に募集が開始されているため、ES・GD・面接の練習に丁度よいと捉えられている、ということです。

もちろん中には本気で最初からベンチャー企業を目指している人もいるのですが、「練習でベンチャーを受ける」のようなスタンスの人が多いことは事実です。

ベンチャー企業の新卒入社に向いている人とは?

それでは、ベンチャー企業に新卒で入社することが向いている人とは、どのような人なのでしょうか?

私は、次の4つが挙げられると考えています。

  1. ベンチャー企業の本質を理解している
  2. 自信と実力がある
  3. 熱いベンチャーマインドがある
  4. 根性がある

①ベンチャー企業の本質を理解している

これには、2つの要素があります。

1.勘違いをしていない

2.ベンチャー社員としての旨味を理解している

です。

1.の勘違いをしていない、という部分については、既に上に書いたような、ベンチャーに対するイメージだけで企業を捉えていないか、ということです。

誤った認識でベンチャー企業を見ると、その誤った認識に合致する部分しか目に入らなくなり、正しくベンチャー企業を捉えることが出来なくなってしまいます。

2.のベンチャー社員としての旨味については、人によって変わってくるため、画一的に議論することは難しい内容です。

というのも、ベンチャー企業を志す本人が重要だと思っている点(価値観)とベンチャー企業が持っている要素が上手く重なるポイントこそが、ベンチャー社員としての旨味だからです。

例えば私の場合、次のような旨味があると感じ、ベンチャー入社を決意しました。

I.  Web系のBtoB企業の一領域ではトップであるため、第一線の現場のノウハウが身に付く

II. 再現性の高い〇〇の知見が他のどの企業よりも蓄積している

III.平均年齢が若く、エース社員の年齢も若いため、若くして成長するためのノウハウ・メンターが充実している

II.の〇〇の部分は企業の特定を避けるため、伏せました。

これを見ていただいてお分かりかもしれませんが、あくまでその企業の事業・組織の特徴を重視しているのであり、「ベンチャー企業だから」という部分に着目したわけではありません。

III.の平均年齢に関しては確かにベンチャーという要素が大きく関わってはいますが、若いというだけではなく、その若さをどう活かしているか、という組織・体制の部分にも目を向けました。

②自信と実力がある

ベンチャー企業では、安定した出世ルートなど存在せず、自分自身で道を切り開き、時には役職すら自分で作り出して出世していかなければいけません。

そのような環境でやっていけるという確固たる自信と、それを実現するための実力がなければいけません。

もちろん、ここでいう実力というのはあくまで組織で成果を出すという意味での実力であり、専門的な技術・知識のあるなしを問うているわけではありません。

③熱いベンチャーマインドがある

ベンチャーに入社するにあたり、③は向いている向いていない、必要不必要のような議論のレベルではなく、もはや持っていなければ論外といえるような要素だと思います。

ベンチャーマインドってなんやねん、と思う人も多いと思うので、以下に私の思うベンチャーマインドを列挙してみようと思います。

  • 好奇心旺盛である
  • 組織成長に対して貢献意欲がある
  • 受け身姿勢でない
  • 変化に対する恐れがない
  • 必要なものは自分で用意する
  • 様々なものが不足している環境であってもなんとかやっていく
  • 試行錯誤を続ける
  • 考えるよりもまず動く
  • 最後までやりきる
  • 自分の意志・ビジョンをもっている
  • 自分の責任範囲を拡張していく

このようなマインド・スタンスを持っている人をベンチャーは欲していますし、このようなマインド・スタンスで物事に取り組むことが好きな人は、ベンチャー企業できっと活躍出来るはずです。

④根性がある

これが最も大事なポイントかもしれません。

ベンチャー企業は、残業しまくり、土日も仕事三昧、仕事がないタイミングでも仕事のためのインプット、目の前のタスクをこなしつつ次のステップアップのための準備・根回しを行うなど、とにかく根性がなければやり切れません。

もちろんベンチャー企業とひと括りに言っても沢山ありますから、それぞれの企業で実態は微妙には異なるはずですが、わざわざベンチャー企業を選んでいる人達の集まりですから、ここまでやり切ることが求められることは確かでしょう。

また、ベンチャー企業ならではの仕事内容から必要となる「根性」もあります。

ベンチャー企業は人員が少ないまま多くの業務をこなさなければいけないため、単純作業や事務作業に至るまで自ら処理しなければいけないという場面も当たり前のように発生します。

本質的な思考などに注力するために、いかにそのような本質的でない作業を減らし、処理速度を高めるか、上手く人に任せるか、ということも重要になってきます。

結局、ベンチャー企業の新卒入社はアリなのか?

ここまでベンチャー企業の実態やベンチャー企業に向いている人などを書き連ねてきましたが、この記事をここまで読み進めてくださった方が最も気にしているのはあくまで「結局、ベンチャー企業の新卒入社はアリなのか?」という部分だと思います。

結論は、「人によるが、大部分の人にはオススメ出来ない」ということになると思います。

まず、ベンチャー企業に新卒で入社すべき人は、上の「ベンチャー企業の新卒入社に向いている人とは?」に合致するような人です。

こんな、少し頭のネジが飛んでいるような人は、今すぐにベンチャー企業に入社してガンガン成果を出すべきです。

反対に、この条件に合致しない、もしくは少しでも大手と悩むような人は、ベンチャー企業に入社すべきではありません。

例えばベンチャーマインドがないままにベンチャー企業に入社しても周りの温度感や求められているレベル感が合わず、精神的に落ち込んでしまい、成果が出なくなってしまうことが容易に想像出来ます。

また、労働環境としては大手企業の方が圧倒的に良いことは明らかであるため、いつでも入れるベンチャー企業ではなく、新卒という貴重なタイミングでは大手企業に入るというのも良い選択肢の一つです。

大手企業でゆっくりと社会人経験やスキルを積んでいく中で自分の中にベンチャーマインドが生じるかどうかを見極め、良いタイミングでベンチャーに転職する、という道もあります。

ベンチャー企業がどういうものなのかをよく理解していて、自信と実力があり、ベンチャーマインドを持ち、根性のある人でなければ、ベンチャー企業新卒入社は避けた方が良いと思います。

新卒で入社するベンチャー企業の選び方のポイント

「よし、ベンチャー企業が自分には合っていそうだ!」となった場合、どのようにベンチャー企業を選んでいけば良いのでしょうか?

私は、次の4つのポイントを意識してみると良いと考えています。

  1. 成長性のある市場で事業・サービスを提供しているか
  2. 企業理念や事業・サービスのコンセプトに共感するか
  3. 黒字化していて、成長が見込めるか?
  4. 自分が学びを得られるような人が現場レベルでも存在するか?

ベンチャー企業も沢山ありますから、どれでもいいということは当然なく、どのような場所でどのような戦い方をしているか?をよく理解して選ぶと良いと思います。

まとめ

この記事では、ベンチャー企業にシード、アーリー、エクスパンション、レイターといったステージがあること、ハイリスク・ハイリターンが期待出来るのは経営者だけであること、ベンチャー企業に対する様々な誤解がはびこっていること、ベンチャー企業にはベンチャーマインドなどをもっていなければ向いていないこと、などを解説しました。

私自身はベンチャー企業に入ることで、短い期間で沢山の経験をさせてもらい、とても大きな糧となりました。

一方、働き方の部分などで肌に合わない部分も多くあり、持続的に働き続けられる環境ではないとも感じています。

自分が何を求めているのか、ベンチャー企業で働くことでそれは得られるのか、他では得られないのか、ベンチャー企業に入社することで得られる自分にとってのメリットは、デメリットを上回るほどのものなのか?など、よく考えてからベンチャー企業に入社するかどうかを決めることが大切だと思います。

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サメの助
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平日の全てを仕事に、土日の全てを遊びに費やす東大理系院卒ベンチャー社員